『イタリアの街ガイド』第12回 ポンペイ/エルコラーノ

10/31/2019

こんにちは。すたじゃ!です。

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イタリア旅行コラム『イタリアの街ガイド』
ポンペイ/エルコラーノ

西暦79年のヴェスーヴィオ大噴火により、後世の手が全く入らない古代の生活をそのまま現在にまで伝えている人類史上唯一の例。

1997年に世界遺産に登録された南イタリアの古代都市の歴史ロマンに浸る。

 

 

ポンペイ  Pompei


ナポリの中央駅から40分ほどの場所に位置する、おそらくもっとも有名な古代遺跡ポンペイは、約66万平方メートルの市街地。エルコラーノに比べると町は、かなり広く平地に広がっている。
遺跡は人々の家、別荘、劇場、神殿、浴場など日の当たる場所ばかりでなく、秘儀荘、盛り場、売春宿までが保存されている。

 

■フォロ浴場 Terme del Foro

フォロ浴場

公共の浴場で、建物に残っている装飾や彫刻が素晴らしく、ポンペイ観光では必須の施設。
日本でも、昔は個人の家には風呂場がなかったので、町に複数の共同浴場があった。
古代ローマでもそれは同じ。ただ、こちらもすごいのは、とにかく柱、壁が立派!(笑)

現代の日本と同じような湯をためる大浴場、二重構造の壁で、スチームサウナ室があるなど、建築技術的にも素晴らしい。

映画テルマエ・ロマエでも、古代ローマ人にとっても温泉の重要さは描写され、闘技場と温泉は生活の中で重要な位置を占めていたにも関わらず、現代のヨーロッパ人は、温泉に対する認識が、「体が悪いおじいちゃん、おばあちゃんが訪れる保養所」と思っているのが不思議。あの熱き温泉愛はどこにいってしまったのだろうか…

 

■ルパナーレ 売春宿

ポンペイのチケット売り場に売っている公式のガイドブックに売春宿のことは載っていなかったと記憶している(笑)

書籍というものは、古代ローマを専門に研究している偉い大学教授が書いたり、監修したりするものなので、売春宿というものは、バッサリ省略されてしまうのかなと。

ただ、ポンペイ遺跡の偉大さは、「書物でしか伝わっていなかった古代人のリアルの生活」を知ることが可能なこと。

古代の「表の」歴史は、正直、ローマにある古代遺跡を研究すれば事足ることで、ポンペイ遺跡の一番の収穫は、「普通の人々の生活の跡」が目に見える形で保存されていたことだと思う。専門家が省略するなら、それこそ、このコラム内で紹介する意義があるというものです♪

とはいえ、ルパナーレにくる途中、道端に、男性のシンボルが「道標」代わりに彫られており、やはり「笑い」と「冷やかし」の対象になってしまうのは否定できない (笑)

 

ルパナーレの中に入ってみると、部屋の扉の上に性描写があるが、これは女の子の「得意技」が描かれているとのこと。これくらい直接的な性描写の表現はなかなか珍しく、「古代の人々の生活」などをテーマにした論文、テレビ番組では、よく、ここのフレスコ画が使われているのを目にする。部屋には石で作られたベッドがあり、その上にマットレスを敷いて商売をしていたようだ。

 

Wikipediaで”Lupanare”を調べてみると、この家の壁には、順番待ちの客が刻んだ、たくさんの落書きが残っているという。古代ローマの公用語のラテン語は、管理人のやすゆーは専門外で読むことはできないが、ここではWikipediaのイタリア語版にしか載っていない生々しい落書きを、そのまま紹介しよう。

Hic habitat felicitas. «Qui abita la felicità»[10]; (画像あり)
「ここには幸せがある。」

Hic ego puellas multas futui. «Qui ho fottuto molte fanciulle»:
「俺は、ここで、たくさんの女の子とやったぜ!」

Fututa sum hic. «Qui sono stata fottuta»
「ここで、私(女性)は、やられちゃった」

Myrtis, bene felas. «Myrtis, tu succhi bene»
「ミルティス、君のフェラは最高!」

Hinc ego nun futui formosam puellam laudatam a multis, sed lutus intus erat.
 «Qui ho appena fottuto una formosa fanciulla lodata da molti, ma dentro era fangosa»
(CIL, IV 2175; 2246; 2217; 2273; 1516)
「ついに、皆から人気のムチムチの女の子とやったけど、中は砂まみれだった。」

 

ポンペイには、こんな生々しい落書きがあるというのは話には聞いていたけど、「あ、それって、ここにあったんだー!」と、ちょっと感動。それにしても、こうやって訳してみると、内容が現代のネット書き込みと、それほど変わらないことがわかる。

Wikepedia様のおかげで、古代ポンペイ人たちを、もっと身近に感じることができた(笑)

 

■ファウノ(牧神)の家 Casa del Fauno

「ファウノの家」はポンペイ最大の個人住宅。敷地面積が約40m×110mの大豪邸。
公共施設のバジリカの倍近く、フォロ(広場)より少し狭いくらい。家の中庭に踊る牧神のブロンズ像があることから、この名がある。(現地にはコピーが置かれている)

今も昔も公共施設を超える邸宅を建てれる人ってどんな人?って感じ。家の持ち主については、様々な説があるみたいだけど、偉い人の家なのは間違いないんでしょう。

牧神の家 Casa del Fauno
家の中庭に踊る牧神の置物があることからこの名がある。

この家からは、世界史の教科書にも載っている、かの有名な、「アレキサンダーモザイク」が発掘された。現在、オリジナルは、ナポリ国立考古学博物館に所蔵されている。

英雄の戦争の記録を称えるために、公共施設の大画面に飾られたモザイク画と思い込んでいたが、実際は、個人の館の床を飾るモザイク画。

筆で描いたフレスコ画ではなく、色のついた細かい石を賽の目にはめ込んだモザイクのため、すり減ったとしても色は失われず往時の色彩が残っている。(欠損部分は、どうしようもない)

《アレキサンダーモザイク》 オリジナル 
ナポリ国立考古学博物館所蔵
アレキサンダー大王 部分

 

秘儀荘  Villa dei Misteri 必見!古代の違法クラブ?

ひろーいポンペイの市街地の中で、町の北西のはずれにある秘儀荘を見逃すわけにはいかない。有名な「ポンペイの赤」と呼ばれる血の色のような鮮やかな背景が見られる。このフレスコ画はあまりにも有名なので、様々な観光ガイドの表紙を飾っている。実際に本物の前に立つと「自分は今、ポンペイにいるんだ!」と実感するだろう。

秘儀荘のフレスコ画。 禁教の入信儀式を描いたもの。
かなり怪しい館だったようだ。

ベールに包まれた、ご神体の男性器
子供が欲しい女性たちの駆け込み寺みたいなところ?

先に掲載したポンペイの地図の場所を見てもらえばわかるが、立派な邸宅だが街外れにあった理由は、この館では、ローマでは禁止されていたディオニソスの秘儀が行われたいた場所だから。

ディオニュソスは古代ギリシャの「酒の神、豊穣の神、演劇の神」のこと。ローマ時代にはバッカスと呼ばれ、残されている美術資料から伺えるバッカスのイメージは、基本的に、あまり、いい表現で描かれる神ではない。

二コラ・プッサン《パンの胸像の前のバッカス信女たち》1631年

ここで紹介するのは、17世紀のフランスの宮廷画家プッサンの絵。お上品な様式の彼の絵では、森の中で男女がダンスをしている風に見えるが、実際は、酒に溺れ、酒池肉林というか乱痴気騒ぎをしていたもよう。その集団的狂乱と陶酔を伴う教団の教えから、古代ローマでは元老院で禁教とする法律がでたほど。

秘儀荘は、おそらく若い男女に子供の作り方を指南する場所であり、解釈が難しいが、描かれているフレスコ画は、若い女性が入信し、儀式を経て、結婚の準備する場面が描かれているようだ。

元々は、「お酒の力と、踊りでいい雰囲気になって男女が結びつき、子供が生まれる」ということが目的の儀式であったのだろうが、様々な目的をもった人が参加することで、その目的も忘れられ、風紀を乱すものとして、ローマの政府から禁止されてしまったのだろう

しかし、ポンペイはローマから遠く離れた地方の商業都市。監視の目が届きにくいところで、禁止されたことが脈々と受け継がれるのは、今も昔も、人間は変わらないらしい(笑)

 

エルコラーノ Ercolano

世界的に有名なポンペイに比べると観光客も少ない古代名へルクラーネウムと呼ばれるエルコラーノは、実はポンペイよりも高級避暑地として栄えていた。


ポンペイは比較的火山灰の堆積が少なかったのに対して、エルコラーノには20mもの堆積物が積もったので、遺跡に入るには現在の街がある地層から斜面を下りていくという感じ。


掘り下げられた場所の遺跡を見学するというスタイルなので、ポンペイのように遠くにヴェスーヴィオ山が見えるというような絵になる風景が少ないのが人気を分ける要因かもしれない

ただポンペイよりも高級避暑地として栄えていただけあり、個々の建物に残るモザイクなどの装飾品を見るとポンペイのものよりも芸が細かい。その代表格が、ネプチューンとアンピトリティスの家のモザイク画。こんなキレイなモザイク画は見たことがない。


ネプチューンとアンピトリティスの家の色鮮やかなモザイクは必見

 

テルモポリウム 古代のファストフード店?!

さて、古代の街を歩いていると道路に面したところに、なにやら、かまどのようなものが見える。L字型のバーカウンターの役目もする厨房がある。ここではワインや温かい飲み物を提供していたようだが、中を覗いてみると小石が入っている。飲み物を保温するのに小石を使っていたのであろうか。

それにしても、ここはまさに、古代ローマのファストフード店だ目
エルコラーノは海沿いの高級避暑地。一体どれくらいの値段でパニーニとワインを提供していたのだろうと思いを巡らしてみる。

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