『イタリアの街ガイド』第11回 フェラーラ 後編

09/12/2018

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イタリア旅行コラム『イタリアの街ガイド』
フェラーラ 後編

フェラーラのディアマンティ宮は現在、国立絵画館になっており、フェラーラ派の作品が充実している。でもこのフェラーラ派、クセが強すぎてどうも苦手…と思う人も多いのでないだろうか。

フェラーラ後編では、フェラーラ派絵画の見方を紹介!

 

ルネサンス=「均整がとれた美」と違う

美術の書籍をめくると、フェラーラ絵画は「輝石や鉱物質的な、尖った線を特徴とする宮廷様式」というような説明をよく目にする。

なんのことだかよくわからない説明だ。

 

フェラーラ派の代表画家であるコズメ・トゥーラ《春》を見てみよう。確かに石のように硬そうで輪郭がカクカクしている。足を覆うマントの衣文なんてやりすぎと思えるほど線が交錯している。

「おーすばらしく美しい」と思った人がいただろうか?「私たちが見慣れた」同時代の画家ボッティチェッリのようなイメージと比べると、ちょっとクセが強すぎ、とっつきにくい。

(左) コズメ・トゥーラ  《春》   National Gallery,  London
(右) ボッティチェッリ  《剛毅》  Galleria degli Uffizi, Firenze


フィレンツェ・ローマの芸術= ルネサンスのイメージ

ロレンツォ・ディ・クレディ《衣装習作》  Paris,   Louvre

その「私たちが見慣れた」芸術というは、フィレンツェを中心としたルネサンス美術のことで、ボッティチェッリ、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエッロ等のお決まりの画家たちの描く美術だ。彼らが描く絵はとにかく美しく、顔立ちは天使のようで、とくに衣装の衣文表現は画家たちが力を注いだ部分で、本物の衣装よりも美しいほど。

 

レオナルドと共に修行時代を過ごしたロレンツォ・ディ・クレディが残したデッサンに注目してもらいたい。なんたる衣文の美しさ!これだけでもう立派な芸術作品といえる。
☆たいへんよくできました☆的な美術

うねり、鋭い線= 美しい?!

 

コズメ・トゥーラ  《聖アントニオ》
1485年頃   Galleria estense,   Modena

ロレンツォ・ディ・クレディのデッサンを見た後に、フェッラーラ派のコズメ・トゥーラの作品に戻ると、なんともいえない焦燥感におそわれる。ここに見られる《聖アントニオ》の第一印象はどうだろうか?

 

第一印象は大抵の場合、どこか違う星から来たエイリアンではないかと感じてしまうのではないだろうか。聖人の顔立ちは病的だし、衣装のひだは、それ自体に悪魔が宿っているのではないかと思うほど変にうねっている。

「おぉ、こ、これは…的な表現」

まさにこれがフェッラーラ派の理解を難しくしている元凶。顔、衣装のひだの表現を見てしまうと、どうしてもフィレンツェ派と比較してしまうので「どちらが綺麗」「醜い」ということしか考えられなくなってしまう。

そうはいっても美術というのは、美しさを求めてしまい、ボッティチェリの美しさに比べて「醜い、下手!」と思ってしまうのが人情。
ここで「表面的な美しさ、醜さ」という議論から断ち切ってくれるトゥーラの一枚の絵を紹介したい。

 

フェッラーラの国立絵画館所蔵の《聖マウレリオの殉教》には、画面中央上に風に翻る赤い旗がある。本来、旗は柔らかい布地のはずだが、ここに描かれているのは、まるで薄い金属板を折り曲げて作ったかのようだ。

コズメ・トゥーラ《聖マウレーリオの殉教》 フェラーラ国立絵画館

 

この鋭い線、金属、鉱物質の質感に対する異常なまでの愛着。
ここまでくると、さすがにフィレンツェ派と全くもって考え方が違う美術なのだと理解できるだろう。

 

歴史的に尖った美が好きな地域?

一度、美術の主流のフィレンツェ美術とは違うものなのだと理解すると気持ちが楽になる

その後はディアマンティ宮殿の外壁がそうであるように、この地に特徴的な「尖った鉱物的な美」を楽しめるはず。

そういえば、フェッラーラ近郊の町ではランボルギーニを生産している。世界中のどこのメーカーも次々に丸いデザインの車を発表してくるが、ランボルギーニは頑固に「カクカク」した鋭角なデザインに拘っている。昔からこの地域は、硬質なものを美しいと思う地域なのかもしれない?!

 

 

 

■■  Access  ■■■■■■


ディアマンティ宮殿(国立絵画館)
Palazzo dei Diamanti

4月19日~5月31日: 9.00-19.00
6月1日〜7月19日:10:00〜20:00

23:00時までオープン:4月25日、5月1日、5月22日、6月1日、7月17~19日
料金:11ユーロ

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