『イタリアの街ガイド』第14回 アッシジ 巡礼の街

10/22/2020

イタリア旅行コラム『イタリアの街ガイド』アッシジ  巡礼の街

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世界中から観光客が集まるイタリアの都市は基本的に騒がしい。
しかし「清貧の人聖フランチェスコの巡礼の地アッシジは、明らかに他の都市とは違った空気が漂っている。
信仰が厚く守られているカトリックの国イタリアの静寂な空気を体験してみる。

 

 

 

イタリア国鉄アッシジ駅から公共バスに乗り、かなり揺られ着いた丘の中腹にサン・フランチェスコ聖堂が見えてくる。聖堂の表側からは想像がつかないが、実は非常に狭い丘陵地に建てられており、土台はまるで要塞のように地形に合わせて作られ、見た目にも非常に重厚なことに驚かされる。

中部イタリアを代表するゴシック様式のこの聖堂は2000年に世界遺産に登録された

城壁のような基礎

 

イタリアで最も人気の聖人 聖フランチェスコ

チマブーエ(ジョットの師)
《聖フランチェスコの肖像》下院

聖フランチェスコ(Assisi 1182-1226) の人気のほどは、死後わずか2年で教皇庁によって聖人と認められ、聖堂の礎石が教皇によって置かれたことからもわかる。聖フランチェスコの理念は「清貧」という言葉に日本語では表されるが、要するに「貧しいことを良しとすること」(だと理解している)。

それまで、キリスト教の中で偉い人とは、信仰のために自らの命を捧げた殉教者や、聖書の解釈を高めた学者タイプの人が多かったけど、聖フランチェスコは、自分の財産を貧しい人に分け与え、慎ましい暮らしの中で人生の喜びを得ようと説いた人。

今、我々が思う「キリスト教徒」の美徳とされるイメージを、最初に作り上げた人と言ってよいと思う。

サン・フランチェスコ聖堂は、紀元前に生きた半ば伝説上の人では?と思わされる人でもなく、1200年代に、実際に中部イタリアに生き、皆に敬われて最期を迎えた聖人の墓が安置されている聖堂・・・ 人気が出ないわけがない。

この人気の高さが原因で1818年まで聖フランチェスコの埋葬場所は忘れ去られてしまっていた。というのも、熱狂的な信者が遺体を聖遺物として持ち去ってしまうことから、あまりにも秘密裏に遺体が埋葬されたため、埋葬場所が600年間わからなくなってしまったという驚くべきエピソードが伝わっている。今でも地下聖堂(クリプタ)の聖フランチェスコの棺が納められている柱は、鉄格子で周りを固められ防御されている( ´艸`)

聖フランチェスコが埋葬される地下聖堂(クリプタ)

 

サン・フランチェスコ聖堂ガイド

この聖堂の変わっている点は、二つの建築様式で聖堂が建てられていることにある。

・非常に太い柱をもつ下院は天井が低く、薄暗いロマネスク様式

・天井が高く、明るい上院は、ゴシック様式となっている。
上院は、壁一面を覆う天才ジョットの代表作「聖フランチェスコの生涯」で有名だ。

サン・フランチェスコ聖堂    下院 
天井が低い重厚なロマネスク様式

 

サン・フランチェスコ聖堂 上院
壁一面のジョットのフレスコ画で有名

 

聖フランチェスコの生涯を巨匠たちの絵で辿る

裕福な商人の家に生まれた聖フランチェスコは14歳にして、すでに父の仕事を受けもち、跡継ぎとして期待されていた。騎士になろうとしてアッシジ-ペルージャ間で起きた戦争に参加して捕虜となったり、キリスト教徒として最高の栄誉である十字軍への参加も考えていたが、夢に神が現れたことから聖職者になることを決める。

以後、貧者に冨を分け与え、病人に奉仕するフランチェスコ会の活動が始まるのだが、サン・フランチェスコ聖堂内部には、ジョットや他の一流の画家たちが、聖フランチェスコの生涯を壁一面に描いており、少し予備知識を仕入れていれば、画家が辿った生涯を天才ジョットの絵で辿ることが醍醐味だ。

ジョット《聖痕を受ける聖フランチェスコ》

なかでも聖フランチェスコが、《聖痕を受ける聖フランチェスコ》は必見。このエピソードを伝える絵は時代が下ってもイタリアでは、多く描かれたが、ジョットが、あまりにも上手くエピソードを描写しているため、時代が下っても、多かれ少なかれ、このジョットの構図と似た絵が量産されつづけた

 

タウってなに?

アッシジの街を散策していると、頻繁にTの形をしたシンボルに遭遇する。
十字架のデザインを現代風にデザインしたのでは?とも思わせるが、これは聖フランチェスコのシンボル。「タウ Tau」と呼ばれるもので、元はヘブライ語とギリシャ語のアルファベット。聖フランチェスコは、信仰を表すために壁や手紙に書き記していたという。アッシジのお土産屋さんには、どこでもこのシンボルをかたどったアクセサリーが置いてある。

*

「平和のシンボル」となったアッシジを、毎年多くの人たちが訪れる。「世界的な観光地」という割には、宿泊代や飲食代などの物価が安い印象を受ける。そしてなにより気さくな感じの人が多く、観光地に来たという印象があまりしない。静寂な空気な中、中世の建物の間を通る、細く曲がりくねった石畳の道を散策すると、心に思い浮かぶ典型的な「イタリアの小さな町」に来ているのだなぁと実感する。

Access  サン・フランチェスコ聖堂



サン・フランチェスコ聖堂
Basilica di San Francesco
d’Assisi

■サマータイム期    
上院       :8:30 – 18:50
下院とクリプタ  :6:00 – 18:50

【下記は、信者専用】 ↓
下院は水曜日を除き、20:00 までオープン。
墓があるクリプタは、金曜と土曜の21:00から22:00まで祈りのためにのみ入れます。

 

■通常期
上院  平日 8:30 – 18:00   17:45分以降は入場不可。
下院  平日 6:00 – 18:30   

・信者は、下院に水曜日を除き、19:00 まで入れます。

開館時間はSan Francesco聖堂オフィシャルサイトからも確認できます。

 

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