『イタリアの街ガイド』第1回 ベネチア
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イタリア旅行コラム『イタリアの街ガイド』
ベネチア
サンマルコ、リアルト橋、美術館以外どこに行く?
よし、次はリアルト橋を見なきゃ!と、ゴンドラや水上バス ヴァポレットに揺られて移動中、運河沿いの美しい建物に圧倒される。ひと通り見て回るとヴェネツィアに来ているんだなぁと強く実感する。アカデミア美術館でヴェネツィア派の絵画コレクションを見るのもいい。
しかし・・・実はベネチア、それ以外は意外に質素。次にどこに行こうか悩んでしまう。
ティツィアーノの若き頃の傑作を見る
きる。その中でも一番有名なのは、サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フーラリ聖堂のティツィアーノの《聖母被昇天》だ。ティツィアーノにして頂点を極めたヴェネツィア・ルネサンス美術の最高傑作が見られるばかりか、他にも数々の見るべきものがあり、多くのガイドブックも薦めているように訪れる価値がある。
これほどまで有名で定番な観光スポットは他のガイドに任せるとして、ここではティツィアーノの師匠であるジョヴァンニ・ベリーニの、これまた最高傑作に注目してみたい。この作品があるサン・ザッカリア聖堂は、フーラリ聖堂に比べるとマイナーだが訪れて決して後悔することはない。
80代でも第一線の画家ベリーニ
ジョヴァンニ・ベリーニ(ヴェネツィアc.1430-1516)は、85歳過ぎまで長寿を全うした画家で、カルパッチョ、ジョルジョーネ、ティツィアーノなど盛期ルネサンスの代表的なヴェネツィア画家は皆、彼の元から巣立った弟子たちで、ヴェネツィア・ルネサンス絵画の生みの親とも言える。
ベリーニの凄かったところは、新しい画風をどんどん取り入れ、自分の画風を死ぬまで発展させたことにある。彼の作風の変化を同じ聖母子像のテーマで比較してみよう。
“イコン系”から”かわいい系”までなんでもござれ!

上の二枚の聖母子像のうち左側がキャリア最初期の1445年頃に描かれたもので、敬虔さに溢れてはいるが、人物は情趣に乏しいビザンティン様式の格式ばったスタイル。
45年後に描かれた右側の《聖母子》(1490年頃)は、同じ画家の作品とは思えない。
同じ主題でも後年に描かれたものは、気品の高さばかりでなく、美しい聖母と可愛らしい幼子は、見る者の心を和ませるキュートな作品に仕上がっている。
そしてベリーニは、70才を過ぎたあたりから、またもやスタイルを変え始める。今回の目玉、サン・ザッカリア聖堂にある《サン・ザッカリア祭壇画》を見ると理解できる。
1500年代の流行は ”ふんわり系”


晩年の彼の作風に一番の影響を与えたのは、自らの弟子ジョルジョーネであった。ジョルジョーネはレオナルド・ダ・ヴィンチの輪郭をぼかし、作品に柔らかさを与えるスフマート技法に影響され、それ以前の輪郭のはっきりとした絵画を時代遅れにしてしまった。
絵画史において、ここがひとつの時代の変わり目とでも言えるが、《サン・ザッカリア祭壇画》に描かれている人物たちは、ジョルジョーネが直接描いたのでは?と思わせるほどデリケートな描写が見られる。


高齢になっても「時代の変化」に敏感で、常に「学ぶこと」を忘れず、結果、75歳にして最先端の流行様式で傑作を残してしまうベッリーニの姿勢は本当に見習わなければならないと思う。それにしても、このたゆまない努力の姿勢は、ちょっと眩しすぎて気後れしてしまうほどだ。
■■ Access ■■■■■■
サン・ザッカリア聖堂 Chiesa di San Zaccaria
開10:00-12:00、 16:00-18:00 日祝16:00-18:00
休 8月の日曜日
ヴァポレット San Zaccaria(サン・ザッカリア) か、San Marco(サン・マルコ)で下船。
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